第10週 CMOSインバータと低消費電力

pMOSとnMOSは「必ず逆のON/OFF」になる双子。これを2つ積むと、入力をひっくり返す回路(NOT=インバータ)ができます。CMOS=Complementary(相補的)MOS。

① pMOS(上)と nMOS(下)を積む

電源 VDD(高い・1)と GND(低い・0)の間に、pMOS を上・nMOS を下に直列でつなぎます。2つの中間が「出力」。両方のゲートに同じ「入力」を入れます。

つなぎ方

上:pMOS(VDD側=電源につながる)
下:nMOS(GND側=アースにつながる)
中間:出力(OUT)
入力:2つのゲートに同時に入れる
イメージ:2つのスイッチを縦に重ねた蛇口。上を開けば出力に「高い水(1)」、下を開けば「低い水(0)」が出ます。入力しだいで、上下どちらかが開きます。
pMOSが上・nMOSが下なのには理由があります。pMOSは「高い側(1)をきれいに伝える」のが得意、nMOSは「低い側(0)を伝える」のが得意だからです(発展)。
② インバータの動き ―― 入れたら、ひっくり返る

入力を 0/1 で切り替えてみてください。入力と出力は 必ず逆になります。これが NOT(インバータ)。通電している経路が緑で光ります。

電流が通る経路 OFF(通らない)

入力を切り替え

入力pMOSnMOS出力
0ONOFF1
1OFFON0
入力0→pMOSがON→出力はVDD(1)へ。入力1→nMOSがON→出力はGND(0)へ。いつも入力と逆の値が出ます=NOTゲート。
③ なぜ消費電力が小さい? ―― 素通りができない

入力が 0 でも 1 でも、必ず片方がOFF。だから電源(VDD)からGNDへ「素通り」する道が開きません。落ち着いた状態では、電流がほとんど流れない=電力を食わない。これがCMOSが世界を席巻した理由です。

素通り経路(開かない!) 出力への経路

状態を見る

電力を食うのは「切り替わる一瞬」だけ。0と1がすれ違う瞬間だけ、上下が半開きになって少し電流が流れます。だから速くたくさん切り替える(高クロック)ほど発熱します。
落ち着いた0/1の状態では電流ほぼゼロ=待機電力が小さい。電池で動くスマホに最適。これがCMOS(Complementary MOS)の最大の強みです。