第11週 アニメ図解② 平面から立体へ:ゲートの囲み方の進化

短チャネル効果(図解①)への答え=「ゲートでチャネルを何面から囲むか」を増やしていく


これまでのMOS=チャネルの「上1面」だけゲートが乗っている

断面で見ると、チャネル(電流の通り道)の上に酸化膜+ゲートが乗っているだけ。チャネルの下のほうはゲートから遠く、支配が届きにくい。だから図解①で見た「ドレインの電界の侵入=リーク」が起きやすい。

断面図:ゲートが囲んでいるのは赤くハイライトした「上1面」だけ

ゲートが囲む面1 面(上だけ)
チャネルの支配弱い
リーク起きやすい
チャネルを短くするほど、上1面だけでは下のほう・中央を支配しきれずリークが増える
「もっとチャネルをしっかり握りたい」——そこで発想を変えます。平らなチャネルを立てて、横からも握ればいい(→ FinFET)。

FinFET=チャネルを「ヒレ(Fin)」に立てて、3面から囲む

チャネルを魚のヒレ(Fin)のように縦に立て、ゲートを左・上・右の3面にかぶせます。3方向から握るので、上1面だけの平面MOSよりずっとチャネルを支配でき、リークが減ります。22nm世代あたりから主役になりました。

断面図:立てたヒレ(チャネル)を、ゲートが左・上・右の3面(赤ハイライト)から囲む

ゲートが囲む面3 面
チャネルの支配強い
リークかなり減る
3面から握ると、チャネルの大部分にゲートの支配が届く=OFFがちゃんと効く=リークが減る
ただしヒレの根もと(下の1面)はまだ握れていない。さらに小さくすると、ここがやはり弱点に。→ ならば全部囲もう(→ GAA)。

GAA/ナノシート=チャネルを薄い板にして、全周(4面)を包む

チャネルを薄いシート(ナノシート)にして、その全周をゲートでぐるりと包みます。GAA=Gate-All-Around(全周ゲート)。逃げ場がないほどチャネルを握るので、短チャネル効果をほぼ抑え込めます。さらにシートを上下に積み重ねて電流を稼ぎます。2nm世代の主役です。

断面図:薄いシート(チャネル)の全周をゲート(赤ハイライト)が包む。シートは上下に積める

ゲートが囲む面全周(4面)
チャネルの支配最強
リークほぼゼロ
全周で握る=どこにもドレインの電界が侵入する隙がない。だから極小サイズでもOFFがしっかり効く。
おまけにシートを何枚も積めば電流(駆動力)も増やせる=小ささと強さを両立。これが「平面 → 立体」進化の到達点です。

3つ並べて一望:囲む面が増えるほど、チャネルをしっかり握れる

同じチャネルを、ゲートが何面から囲んでいるか。1面→3面→全周と増えるほど、ゲートの支配(赤ハイライト)が増え、リーク(漏れ)の矢印が細っていきます。

 平面MOSFinFETGAA/ナノシート
ゲートが囲む面1面(上だけ)3面全周(4面)
チャネルの形平ら(寝ている)ヒレ(立てる)薄いシート(積める)
支配の強さ弱い強い最強
リーク起きやすいかなり減るほぼゼロ
主な世代~28nm 頃22~5nm 頃2nm 世代~
ひとことで:「ゲートでチャネルを何面から握るか」を増やす歴史
第9週の「ゲートの効きやすさ=チャネルを制御する力」が、立体化でどんどん強くなってきた、という話です。次世代はシート同士をさらに積む・nとpを重ねる(CFET)など、囲み方と積み方の工夫が続きます。