第11週 アニメ図解① スケーリング則と短チャネル効果

なぜトランジスタを小さくしたいのか(スケーリング則)/小さくすると何が困るのか(短チャネル効果・リーク)


寸法を 1/k にすると、同じ面積に k² 個のトランジスタが入る

スライダーを動かすと、トランジスタ1個が縮み、空いた場所に同じ大きさのチップへどんどん詰め込まれます。
「小さくする=同じ面積にたくさん載る=1個あたりが安い・配線が短くて速い・電圧も下げられて省電力」——これがチップを縮め続ける動機です。

1.0

左=トランジスタ1個(k倍に縮む)/右=同じ大きさのチップ(k×k 個に詰まる)

縮小率 k1.0
1個の面積1.00
同じ面積に入る数1 個
面積は 1/k² になります(タテもヨコも 1/k だから)。だから同じ面積には k² 個が入る。
k=1.4(約√2)でちょうど2倍。「約2年でトランジスタ数が2倍」というムーアの法則は、2年ごとに寸法を√2ずつ縮めてきた、と読み替えられます。
ここがうれしい:たくさん載る→1個あたり安い/配線が短い→速い/電圧も下げられる→省電力。3拍子そろうから、みんな小さくしたがるのです。

小さくしすぎると、ゲートがチャネルを支配しきれなくなる

第8〜10週で「ゲートがチャネルを作る・止める」を学びました。ところがチャネルを短くすると、両どなりのソース/ドレインの電界がチャネルの真ん中まで入り込み、ゲートの言うことを聞かない領域ができます。すると OFF にしたいのに電流がじわっと漏れる=リーク。第10週で学んだ「リーク=省電力の敵」が、ここで効いてきます。

長い(昔のMOS)

スライダーを右へ=チャネルを短くする。ソース/ドレインの支配(赤)がチャネル中央へ侵入していく様子

チャネル長長い
ゲートの支配チャネル全体
OFF時のリークほぼゼロ
長いチャネルでは、チャネルの上にいるゲートが端から端まで全体を支配でき、OFFと言えばちゃんと止まります。
短くすると、ソースとドレインの電界(赤)がチャネル中央まで侵入。ゲートの支配(紫)が押しのけられ、OFFにしても電流が漏れる=リーク
この「ドレインの電界がチャネルに入り込んで壁を下げてしまう」現象が、最先端で平面MOSが行き詰まった正体です。→ 解決策が「ゲートで何面から囲むか」を増やす立体構造(図解②へ)。